網膜前膜(⻩斑上膜)

網膜前膜(黄斑上膜)とは

網膜前膜とは、網膜の中心部である黄斑部の前に膜が張り、視力が低下したり物がゆがんで見えたりする病気のことです。はじめは薄いセロハンのような透明な膜が張っているだけなので、症状も少なく検診で見つかることも良くあります。
膜がだんだん厚くなってくると網膜にひきつれが生じて物がゆがんで見えたり、視力が下がってしまいます。ゆがみが強くなったり、視力が低下したら手術を行ないます。手術は眼球に小さな穴を3箇所開けて、硝子体を切除したあとに黄斑部にある膜をはがす手術になります。

症状

黄斑上膜

正常黄斑

治療

自覚症状のない軽度のものでは経過観察でかまいませんが、ゆがみや視力低下を認める場合は手術適応と考えます。硝子体手術を行い黄斑上膜を鑷子を用いて取り除く以外方法はありません。この際網膜に傷をつけないように慎重に操作します。

従来の網膜前膜(黄斑上膜)の手術は、かなり歪んで見えるようになったり、視力がかなり悪くなってから手術を行うことが一般的でした。しかしながら、病状が進行して網膜が長期間歪められた状態で手術をしても、網膜の歪みは元に戻らず、最終的な視力は良くないことが多くの論文で検証されています。(かなりクシャクシャに歪めた紙に、シワが沢山残るようなイメージです。)
逆に言えば、まだ視力が比較的良いうちに手術を行うことで、最終的に良い視力を生涯維持することができることが示唆されています。

手術技術や設備が飛躍的に向上した現在では、手術自体のリスクがかなり低減したため、比較的早期に手術を行うことが、私の多くの経験からも患者様の一生の見え方を守ることになると考えております。